軟水のある生活 - 珈琲鑑定士 上島一泰

この「富士山の源流水」は、超軟水で、ドリップ珈琲の抽出に最適。

日本は、水とともに栄えたと言っても過言でないくらい水に恵まれた国です。ほとんどの地域の水は軟水ですが、兵庫県の西宮の宮水に代表されるように中硬水の水が湧き出ている地域もあります。古くから水の硬度によって日本料理の出汁の取り方、酒造りの辛口・甘口の特徴などに影響してきました。ヨーロッパ大陸のように硬水が多い地域ではお米を炊いたり、菜っ葉を炊いたりすると硬い水ではぱさぱさになってしまいます。方や、お肉を煮込んだりするには硬水の方がむいています。水の硬度によってもまさに食文化に大きく影響しています。日本に、お茶が伝わったのが西暦700年ごろですが、お茶を抽出するには軟水が適しています。コーヒーは、19世紀の終わりごろに長崎の出島に伝わったと記録がありますが日本の軟水は、ドリップでコーヒーの香りを楽しむことができる世界でも数少ない水です。その中でも、この「富士山の源流水」は超軟水(硬度28mg/L・pH8.4アルカリ水)は、ドリップ抽出に適しています。今回は、この「富士山の源流水」で「水だしコーヒー」を抽出しています。エチオピアのイルガチェフをハイロースで仕上げ、ストレートに氷だけで飲んでみました。モカの独特なフルーティーな香りが口の中で広がり、雑味のない、スムーズで美味しいアイスコーヒーに仕上がりました。

公認珈琲鑑定士 IBAO株式会社 代表取締役社長 上島一泰

ブラジル国サントス商工会議所
公認珈琲鑑定士
IBAO株式会社 代表取締役社長

上島 一泰(うえしま かずやす)

1961年 神戸市生まれ。祖父は上島珈琲本店創業者の上島治忠。1986年 英国バッキンガム大学卒業。1987年(株)ウエシマコーヒーフーズ入社。同年12月にブラジル三菱商事(株)に出向に至る。1990年(株)ウエシマコーヒーフーズに復職し、1999年より代表取締役社長就任。2018年 代表取締役退任。現在はIBAO(株)の代表取締役として、珈琲を中心に食文化、食ビジネスの提案を推進する。2003〜2019年、在神戸ブラジル名誉領事。2015年には農林水産省食料産業局長賞を受賞する。