SPECIAL MESSAGE

玄武岩層が生み出す富士山のお水は、
世界的に見ても稀有な存在です

日本の火山の多くは、安山岩やデイサイトのマグマを主に噴出します。
しかし富士山は誕生から10万年という歴史の中で、短期的な例外を除いて玄武岩マグマを噴出し続けてきました。

富士山のように長い間、玄武岩マグマを噴出し続ける火山は珍しく、またそれは富士山周辺が特殊な地質構造を持つということを示しています。
特に地下の玄武岩層に関しては、厚いところで300mを超えると考えられています。
つまり富士山の下を流れる地下水はこの玄武岩層に濾された水というわけです。

富士山は年間20億トン以上の水を蓄えると言われています。
各地で見られる地表の湧水はまさに氷山の一角であり、そのほとんどが地下水となってやがて海に流出していると考えられています。
これらのことからも想像を絶する富士山の規模と豊かな水資源が窺い知れますね。

しかし、その有り余るように感じられる地下水ですが、形成には非常に長い年月を費やします。
富士山に降り注ぐ雨や雪は地表に染み込み、やがて玄武岩層に行き着きます。
そこから300mを50年とも言われるスピードで、ゆっくりと浸透。
その間に不純物は濾され、そして玄武岩の成分がミネラルとして溶け込み水質を形成します。

水質は軟水そのもの。玄武岩がマグネシウムやカルシウムといった成分をほとんど含まないためです。しかし代わりにバナジウムの含有量が高い数値を示します。
特に富士山の地下水はバナジウムの含有量が異様に高く、このことは世界の他の玄武岩火山と比較しても明らか。我々研究者の間でもいまだに研究対象となっている事柄なのです。
「地学雑誌 2017 VOL.126 NO.1 および
2020 VOL.129 NO.5」東京地学協会発行より
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